淡水風景(淡水)
1935年 キャンバス、油彩 91×117㎝ 国立台湾美術館蔵
翻譯:富田哲
上方に向かって伸びている小道は三層厝街である。往時の淡水では地形に沿って建物が建てられ、西洋式あるいは日本式の家屋が次々と現れたが、高さがばらばらで奔放なさまを呈するそれらの建築物は、幾層にも堆積する歴史の隠喩となっていた。小道を軸にして右側にそびえ立つ二軒の洋風建築と、左側に不規則に並ぶ閩南式建築が調和のとれた対比を生み出している。画中の小さな町が一つの世界を形成し、さまざまなものが折り重なりつつも均整を保っており、一見乱雑な空間にも落ち着きが感じられる。
By 陳韋聿